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フィルムのお話

フィルムの種類

 フィルムの種類にはフィルムの大きさによる分類とフィルム自体の構造の違いによる分類が出来ます。大きさによる分類は135判(35mm判・ライカ判)や2B(ブローニー・120・220)やAPS(IX240)などの分類が代表的です。構造の違いによる分類はカーラーネガ・モノクロネガ・外式カラーリバーサル・内式カラーリバーサルといった分類ができ、フィルムの構造も違えば現像処理の処方も違います。それでは以下に構造の違いによる分類に絞って解説していきたいと思います。

構造の違いによる分類

 構造の違いによる分類とはカラーネガやカラーリバーサルといったフィルム自体の違いと現像処理の処方の違いと書きました。そこで体系的に分類していくとしますが、まずモノクロフィルムかカラーフィルムかという分類ができます。カラーフィルムはカラーネガとカラーリバーサルという分類ができ、カラーリバーサルは更に内式リバーサルと外式リバーサルに分類できます。モノクロフィルムは基本的にモノクロネガのみで例外としてモノクロリバーサルもあります。

カラーネガ
  カラーネガは現在もっとも普及しているフィルムのタイプです。処方はC41というコダックのもので、コダック以外のフィルムメーカーもC41と互換性のあるCN-16(フジ)・CNK-4(コニカミノルタ)・AP-70(アグフア)といった処方を採用しており、市販されているカラーネガフィルムは原則として同じ処方で現像できることになっています。フィルムの感度によって処理温度や処理時間を変える必要がないので自動現像機で手間をかけずに大量に処理することが可能です。
 カラーネガは原色(RGB)の補色であるシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)に反応する薬剤が使われており現像処理をすることでCMYの色素を発色させることでネガフィルムとして成立させています。
  ネガ(陰画)ということで明暗や色合いが反転された画像として記録されていてプリントする際の作業性を向上させるために素抜けの部分であるベース自体がオレンジ色等に着色されているためフィルム自体を見てもプリント後の色合いを予想するのが困難となっています。
カラーネガのフィルム自体の構造やプリント時の処理工程から来る特徴をあげてみます。
・ラチチュード(明暗の再現が範囲)が広いので階調が豊かで露出のミスに寛容。特にオーバー露出に対する耐性が強く、白飛びしにくいです。
・現像・プリントの為の機械の扱いが容易で町のいたるところにあるDPEショップに設置されいるので気軽に現像・プリントの依頼をでき、プリントも含めてフィルム一本あたり30分程度の時間で仕上がります。料金も安い。
・撮影時の露出調整等だけでなくプリント時にもCMYのフィルターを利用して色・濃度調整ができますので、人口光源下での撮影による色カブリの補正やミスの救済ができます。反面、プリント時に調整ができるといっても機械による自動補正や機械オペレーター・プリントマンの判断によるので常に決まった結果は望めません。
・ネガもプリントも経年変化で色あせなどを起こします。ただし、保管状況によって色あせの度合いは変わります。

内式カラーリバーサル
  カラーリバーサルフィルムはポジフィルムやスライドフィルムとも呼ばれています。カラーリバーサルはコダックのE-6という処方によって現像されていますが、カラーネガのC-41と同様に他社のリバーサルフィルムの処方も互換性のあるものが採用されています。具体的にはCR-56(フジ)・CRK-2(コニカミノルタ)・AP-44(アグフア)です。
  E-6の現像はC-41よりも管理が難しいといわれ、プリントをする場合だとカラーネガのほうが適正がある等の理由からプリントすることが主目的である一般の方はカラーリバーサルを使用しないです。よって、町のDPEでも自店処理はせずに広範囲な地域に数ヶ所あるぐらいの基幹ラボや都市部のプロラボに送付して処理することになります。つまり、カラーネガよりも処理できる施設が少ないために処理にかかる時間や金額はカラーネガよりも遅くて高くなるのが普通となっています。
特徴としては
・現像済みのフィルムに現れる画像はポジ(陽画)であり、ネガのように反転された画像ではないのでフィルム自体を見ることによって撮影結果がわかります。
・カラーネガと同様にプリントする際に色・濃度調整が可能です。しかし、ネガのように大幅な調整はできません。よって、撮影時の露出ミスや異常光源などによる色カブリの救済は難しくなります。
・カラーネガのような大幅な色・濃度調整が出来ないかわりに、透過原稿として使う際にはプリント見本がなくても目指す仕上がりが伝わりやすいので印刷原稿としてはカラーリバーサルが使われています。
・民生用のフラットベッドスキャナ・フィルムスキャナではネガフィルムをデジタルデータとしてスキャニングしてもスキャニング後の色調整が煩雑かつ難しく、カラーリバーサルのスキャニングのほうが容易です。よって、パソコンに写真データを取り込むのが目的ならカラーネガよりもカラーリバーサルが適しています。
・耐久性は10年程度といわれていますが、最近では20年以上の耐久性をうたったカラーリバーサルが登場しています。

外式カラーリバーサル
  コダックが販売しているコダクロームシリーズが外式カラーリバーサルにあたります。カラーフィルムとしては歴史が古く、映画用カラーフィルムや研究用や特殊なものを除いて市販された写真用カラーフィルムとしては最古のものになり、カラーネガや内式カラーリバーサルよりも歴史があるフィルムなります。
  しかし、諸所の事情からプロや一部の写真愛好家に使われているだけにとどまりコダック以外には外式カラーリバーサルは採用されずに、後発である内式カラーリバーサルのほうが普及しています。しかも、販売しているコダック自身もE-6処方の内式リバーサルのエクタクロームシリーズがカラーリバーサルではメインの商品となっています。
  現像処方はK-14という処方であり、現在はコダック系列のダイヤミックと堀内カラーが現像をしています。地域によってはこれまたコダック系列のローヤルカラーに現像依頼することになりますが、どちらにしても町のDPEや非コダック系の基幹ラボ・プロラボでは処理出来ないということになります。
  コダクロームの特徴はカラーフィルムの中では抜群の耐久性です。50年以上の耐久性を持ち、5〜10年程度で色あせし始めるカラーネガや内式カラーリバーサルとは比較になりません。ただし、鮮やかというより地味な発色や取り扱い現像所の少なさから来る不便さがネックになります。

モノクロネガフィルム
  モノクロネガフィルムはカラーフィルムより歴史がありますが、やはりカラーのほうが一般的には好まれますので写真愛好家だけのものになっています。
  現像は基本的に現像液(デベロッパー)・停止液(ストップバス)・定着液(フィクサー)の3種類の処理液を使ったあとに水洗することで完了します。現像液の処方としてはコダックのD-76が有名ですが基本的にはどのモノクロネガフィルムにどのモノクロネガフィルム現像液で処理してもOKになります。しかし、T-MAXシリーズやコピーフィルム類のように特定の現像液以外ではあまりよい結果にならないものもあるので注意が必要です。
特徴としては
・ネガですので階調は反転されています。
・カラーフィルムの処理薬品ほど毒性の強い処理薬品ではありませんし、入手も容易です。したがって、業者に現像やプリントを依頼せずに個人で行うのが普通です。特に、現像のみなら初期投資の費用もとりたててかかりません。
・個人で処理しやすい反面、既に一般には使われないタイプのフィルムですので町のDPEでは処理をしていません。個人で処理をしない場合は基幹ラボやプロラボに処理をしてもらう必要があります。ただし、プリントのみなら最近普及してきたデジタルタイプのプリント機を導入しているDPEならプリントが出来ます。
・保存性・耐久性に優れ、保存性を高める処理を行えば100年以上の保存が可能とされています。

例外的なフィルム
  コダクロームも現状では例外的なフィルムと言えるかもしれませんが、カラーネガ・内式カラーリバーサル・外式カラーリバーサル・モノクロネガの4種類を代表的なフィルムの種類だとします。しかし、この分類に当てはまらないフィルムも中にはあります。
・色素画像フィルム
モノクロネガは銀粒子の分布によってモノトーンの画像を生み出しています。対してカラーネガはCMYの色素粒子の分布によってカラーの画像を生み出しています。そこで仮にカラーネガの色素をモノトーンにすればモノトーンの画像が得られるのではないかという発想が出てきました。それが色素画像フィルムと呼ばれるモノクロフィルムです。このタイプのフィルムはモノクロフィルムでありながらカラーネガの現像処方であるC-41で現像することが可能で町のDPEで処理することが出来ます。
・ モノクロリバーサル
モノクロのリバーサルフィルムはアグフアが世界で唯一生産しています。スカーラというフィルムがそうで、日本国内では東京の近代カラーでしか現像処理が出来ません。近代カラーに直接持ち込みや郵送する必要は必ずしもなく、近代カラーへのルートを持っている堀内カラーやローヤルカラー等を経由する形で処理を依頼することが可能です。

現像時のトラブルやトラブルになる可能性があるフィルム

クロスプロセス(クロス現像)
 C-41・E-6・K-14・モノクロフィルム現像と4種類のフィルムタイプに対応する現像処理があることは既に解説しました。この組み合わせは守らなければ正常な仕上がりには絶対にならないもので、フィルムが無駄になるだけでなく、処理液に悪影響を与える可能性があります。クロスプロセスとはその組み合わせを破って現像することを言います。DPEなどにあるC-41自動現像機は処理液を少しずつ入れ替えながら処理しているので仮にクロスプロセスをして悪影響を受けてしまうと処理液をすべて入れ替えなければいけなくなるなどの経済的な打撃も受けます。
しかし、あえて正常を望まない場合にクロスプロセスをあえてする場合もあります。代表的な例は内式リバーサルをE-6ではなくC-41で処理するのがあります。結果として露出もカラーバランスも大幅に狂った結果になります。このクロスプロセスですが通常のDPEでは処理液に悪影響が出る可能性があるのでまず受け付けてもらえません。しかし、プロラボなどでは受け付けてもらえます。

水濡れフィルム
 カメラや撮影済みのフィルムが水などの液体に浸かってしまった場合には町のDPEでは処理できなくなります。水濡れ後に乾燥すると内部でフィルムが固まったりするので機械の中で絡まったりする恐れや、水以外の場合は処理液を汚す可能性があるからです。ですから、より大きな機械のある基幹ラボなどで処理されることになります。

イルフォードXP2(スーパー)
 このフィルムは色素画像フィルムでC-41で処理できるモノクロフィルムです。しかし、2000年頃に製造工程で通常のモノクロフィルムを詰めてしまうというミスを犯してしまい、その後改善されたとされていますが、一部のDPEでは安全策で未だに自店処理せずに基幹ラボに送られることがあります。

アグフアウルトラ100
 2002年発売された直後からフジ系のミニラボ現像機で乾燥不具合が出るとの情報が出てきました。対応の早い都市部のDTPチェーンではすぐさま自店処理は禁止で基幹ラボ送りする対策がとられました。その後、アグフア自体もフィルムの外箱に一部の現像機にトラブルが発生していることを明記して注意を喚起していました。

コダックの廉価なカラーネガ
 MAXビューティーやGOLDといった廉価な製品に限りますと、フィルムのベース素材が厚くてカール(巻き癖)しやすいフィルムです。その影響でフィルムの終わりのほうでは現像機やプリンターに通す際に傷がつきやすくなっています。さらに、特定色素の混入忘れなどの製造ミスも最近報告されています。

C-41新処方
 C-41の処方は近年コダックによって新しいものに変えられています。で、C-41新処方ですがコニカのインプレッサやコダックのベリカラーといった一部のフィルムを処理するとネガの褪色が通常では考えられない速度で進行すると報告されています。該当するフィルムは既に生産終了されたものばかりではありますが注意が必要です。

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